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25 創作中華料理コンテストの実現

創作中華料理コンテストの実現

李:創作中華料理コンテストの選考会場が、上海ノーストンホテルに決まりました。選考会当日は、日本のテレビ局も取材に来ます。さらに、張一心もゲスト審査員として出席の予定です。
大山:やった!ついに、「金星」プロジェクトっがここまで来たぞ。
佐藤:李さんたちのおかげです。カクテルの売り込みのことといい、張一心の CM 起用といい、何とお礼を言っていいか分かりません。本当にありがとうございました。
李:いいえ、皆さんの努力の結果です。わたしたちは、お手伝いをしただけです。
野田:おかげさまで、今回の創作中華料理コンテストには、全国から 10000 件を超す応募がありました。創作カクテル部門にも、1000 件以上の応募がありました。
大山:本当ですか。それはすごい。
野田:どのメニューも工夫されたものばかりです。中華風の寿司といったものから、日本酒を使ったデザートなんていうものもありました。
大山:楽しみだなあ。それにしても、よく会場を押さえられましたよれ。
野田:ええ。CM の評判はもちろんですが、上海随一の料理店、水都酒楼が協力してくれたのも大きかったと思います。総料理長の陳さんは有名な特急調理師ですし。
大山:特急調理師って?
野田:一流のシェフとして国から認められた料理人のことです。中国では、料理人の腕前は国家の認定制度でランク付けがされていて、最も位の高い特急調理師は全国で数百人しかいないんです。李主任が陳さんのところに何度も足を運んでやっと引き受けてもらえたんですよ。
大山:ええっ、李さん、そんなことまでしてくれていたんですか。
李:これがわたしたちの仕事ですから。
佐藤:李さん、ここまで来られたのは、李さんたちのおかげです。心からお礼を言います。
李:とんでもありません。

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24 CM

CM

一般の視聴者にとって、CMは迷惑なものと考えられがちだ。確かに、スポーツの緊迫した試合や感動的なドラマがCMで中断されたりすると、そう思ってしまうのも無理はない。しかし、ほぼすべての放送局は広告収入によって運営されている。したがって、番組そのものよりも、CMを見てもらうことこそが放送の目的だといっても言い過ぎではない。
そうはいっても、視聴者が企業の広告ではなく番組のためにテレビを見る以上、広告主の企業や放送局と視聴者の利害は常に対立することになる。CMを見せる側は、あの手この手を使って、何とか嫌がる視聴者がチャンネルを変えないように努力しなければならないわけだ。
例えば、商品名や企業名は、普通に言うよりも歌にしたほうが記憶に残りやすい。そこでCCMソングが生まれる。知らない人より知っている人が商品を紹介したほうが親しみやすい。そこで、人気タレントをCMに起用する。実際、世界の超一流映画スターや歌手がCMにしゅつえんすることさえ珍しくない。また、これとは逆に、CM出演にいよって有名になる俳優や、CMに使われたのがきっかけでヒットする歌も少なくない。1日に何度も放送されるから、知らず知らずのうちに顔やメロディを覚えてしまうのである。
日本ではCMのコンテストがしばしば開催されている。それらに入賞するCMの中には、15秒や30秒という短い時間に見物なドラマを作り上げているものや、映像表現として優れたものも多い。また、企業の社会的貢献を紹介したり、環境問題などについての社会的なメッセージを発信したりするCMも増えている。これからは、商品の宣伝を直接的に訴えるというよりも、企業イメージそのものを伝えるためのCMといってよいだろう。
CMとは、わずか1分足らずの時間のために、莫大な手間と費用をかけて作られた映像作品なのだ。
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24 香港——CM撮影の下見

香港——CM撮影の下見

佐藤:すごい!これが 100 万ドルの夜景か。なんてすばらしいんだろう。
李:わあ、きれい!すばらしい眺めですね。
中井:香港が「東方の真珠」と呼ばれる理由が分かりましたよ。

中井:CM は、このビクトリアピークで撮影する予定です。いかがでしょうか。
佐藤:ちょっと1つ気になったんですが、山頂で夜景を眺めながら乾杯するというのは、不自然じゃないですか。
中井:そう言われてみると、そうですね…。何かいい案はないもでしょうか。
佐藤:こんなのはどうでしょう。場面をナイトクルージングにして、船の上から夜景を見て、乾杯をするというのは。
中井:いいですね。香港というと、やはり夜景を外すわけにはいきませんから。
佐藤:夜景と恋人たち。海上で停泊する船の上で恋人たちが乾杯する…。
李:それなら、張一心のイメージにもぴったりです。
佐藤:もしかすると、最後に2人が「金星」カクテルで乾杯するというのをやめてもいいかもしれません。こんなにきれいな夜景を前にしたら、恋人たちにはお酒もプレゼントも要らない気がします
中井:商品を一切登場させないで、最後に「金星」の文字が映るだけというほうが、確かに印象は強烈かもしれません。
李:早速シナリオを修正します。
佐藤:よろしくお願いします。

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23 水郷の町

水郷の町

水郷の町といえば「江南古鎮」がいちばんだ。江南とは長江下流の南岸、古鎮とは古い町の意味である。烏鎮、周荘、西塘、同里、朱家角などを指し、城を持たない水上都市として、明から清の時代にかけて大きく発展した。運河に沿って続く古鎮の風景は、1年を通じてそれぞれに魅力があるが、初春の風景はひときわすばらしい。水郷ならではの景色と素朴な暮らしが見られる。
古鎮の路地は一般に狭くて長い。石畳の細い道が古い建物の間を延々と続く。特に烏鎮の路地は必見だ。またこの町の「昆劇」や「越劇」などの伝統劇は人気が高い。周荘の運河巡りはぜひとも体験したい。船頭の歌う歌を聞きながら、元、明、清の時代に建てられた14の橋を巡る。この街の住宅のうち、6割は明清時代に建てられたもので、特に、清の時代に建てられた「審庁」の柱や門に施された彫刻は傑作だ。西塘では、運河沿いに日差しや雨風を避けるためのひさしがついた1キロにもわたる長い道に目を見張ることだろう。
同里には古い橋と明清時代の建築が多い。見どころは世界遺産に登録されている富豪の家「退思園」だ。清の終わりに作られた林のような庭園は江南庭園を代表するもので、その美しさは見飽きることがない。
朱家角は北大街の商店街が楽しい。明清時代の雰囲気が色濃く残っている道幅の狭い商店街で、両側の屋根の間から空が細い線のように見えることから「一線街」ともいわれている。町の北東にかかる「放生橋」は朱家角のシンボルになっている。
「江南古鎮」への観光は、上海、杭州、蘇州から出発する。烏鎮、周荘、西塘、朱家角へは上海から、同里へは蘇州からのアクセスが便利だ。
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23 紹興を訪れる

紹興を訪れる

佐藤:きれいだなあ。瓦屋根の家が水に映って、まるで大きな絵を見ているようだ。あの小さな船は、何というんですか。
ガイド:烏蓬船です。紹興酒のかめを積んで運ぶ伝統的な船です。
佐藤:紹興酒を運ぶ船ですか。
ガイド:ええ。紹興で酒造りが始まったのは、今から 2500 年前、春秋戦国時代などいわれています。紹興酒は、これ以来ほとんど変わらない手法で作られているんです。
佐藤:なるほど。あの味は長い伝統の味なんですね。
ガイド:紹興には、「鑒湖の水」というおいしい水と、中国でいちばんおいしいお米があります。こんな土地だからこそ、2500 年もの間、酒造りが栄えたんでしょう。
佐藤:水と米が。日本酒と同じですね。
ガイド:お客様、紹興は初めてでいらっしゃいますか。
佐藤:いいえ、10 年前、学生時代に1度来たことがあるんです。あのころは、まさか自分が酒造会社に就職するとは思ってもみなかったなあ。
ガイド:酒造関係のお仕事をされているですか。でしたら、「鑒湖」に面した紹興酒工場にもご案内しましょうか。
佐藤:いいですね。ぜひ行ってみたいです。
ガイド:そうそう、工場の近くには魯迅の愛した店「咸亨酒店」もございますよ。魯迅、ご存じですか。
佐藤:もちろん。中学校の教科書にも載っているくらい、日本でも有名です。
ガイド:そうですか。では、後ほど魯迅記念館にも立ち寄りましょう。

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